
ここ数年、退職後のお金に関する相談が増えています。
厚生労働省によると、2019年の日本人の平均寿命は、女性87.45歳、男性81.41歳となり、女性は7年連続、男性が8年連続で過去最高を更新しました。寿命はまだ伸びる余地があるといわれており、まさに「人生100年」時代が訪れようとしているのかもしれません。
これまでは、おおむね「人生80年」でした。60歳で退職し、その後は再雇用で働き、65歳からは年金や退職金で生活をする。現在もこうした人生設計が、ひとつのロールモデルとなっています。
しかし、65歳で退職して、仮に100歳まで生きるとすると、35年にわたって年金や退職金、貯金で生活していくことになります。長いですね。お金に困らず、生活していくことはできるのか。不安になるのも無理はありません。
4つのステージに分けると…?
当たり前ですが、人それぞれ事情は異なります。各々が、将来のことを予想しながら、少しずつ老後の準備していくしかありません。ここでは、1つの考え方として、人生100年をざっくりと4つのステージに分けてみましょう。
0歳から24歳ごろまでは「育ちの期間」
学校などでさまざまなことを学びます。働きはじめの数年間も、勉強になることが多いかもしれません。

25歳から49歳ごろまでは「人生フル回転の期間」
仕事で賃金を得ている人が多いのではないでしょうか。家庭を持つ人、子どもを育てる人もいることでしょう。住宅を買う人もいるかもしれません。さまざまなイベントがあります。
独身のときや、結婚して子どもが生まれる前は、お金を貯めやすい時期です。将来の自分にお金を渡すつもりで、財形貯蓄や自動積立などを使って、貯金しておきましょう。

あるいは、この頃から、無理のない範囲で資産運用しておくと、後々大きな金額になります。
仮に、毎月3万円ずつ積み立てて、年間の平均利回りが5%で運用できた場合、30年後には約2500万円になります。内訳は、積み立てたお金が約1080万円で、運用益が約1500万円です(複利で計算して、税金は考慮していません)。運用益が元本を超えていますね。運用益を元本に加える「再投資型」の運用は、期間が長いほど、大きな効果を生みます。時間のある若い人ほど、有利なのですね。
資産運用は、つみたてNISAやiDeCoなど、税制優遇されている制度から始めましょう。
50歳から74歳ごろまでは「老後資金の貯め期間」
50代からは、退職後のことを具体的に考え始めましょう。自分にはどの程度の生活費が必要か、貯金はいくらできそうか、年金はいくら受け取れるか、など。将来受け取れる年金額は、「ねんきん定期便」などで確認できます。

現状、65歳を目処に退職することが多いですが、この先、75歳程度まで働く人が増えるのでは、と考えられます。
75歳以降は「自由な期間」
75歳には、年金や貯金を使いながら過ごす期間になるでしょう。もちろん、働ける人や働きたい人は、大いに働きましょう。年金以外の収入源があれば、家計は安定します。退職したあとも、収入が支出を上回る状態がベストです。

働く期間は伸びる
老後の対策として1番有効なのは「寿命が延びた分、長く働く」ことです。国も、高齢者に働いてほしい、そして税金や保険料を納めて欲しい、と考えています。高齢者が働きやすい、働くと有利になるような制度が作られつつあります。
とはいっても、「高齢になっても仕事はあるのか」という問題があります。人によって大きく異なるでしょう。そもそも健康でないと働けません。今から運用で資産を増やしたり、年金を増やしたり、いくつかの対策をとっておくと安心です。次回から、その対策を具体的にご紹介します。
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