最終回となる今回は、支出の見直し方法をご紹介します。

支出を減らしたい場合は、まずは自分の価値観を確認し、優先順位の低いものからカットしていきましょう。

自分が大切だと思う支出には予算を残し、そうでもない支出は思い切って減らしてみる。削りどころにメリハリをつけることで、暮らしの満足度をあまり下げずに、支出を減らせるかもしれません。

たとえば、車。こだわりがなく、使用頻度も低い場合は、所有することをやめて、カーシェアなどを利用するのも1つの手です。

光熱費 自分に合ったプランを

優先順位を確認した後は、通信費、光熱費、保険料…といった固定費からチェックしていきましょう。

光熱費に関しては、この数年間で、電気やガスの料金プランが増えています。たとえば、時間帯によって電気代が変わるプランなどもあり、自分にあった電力・ガス事業者や料金プランを見つけることができれば、光熱費を安く抑えることができるかもしれません。「エネチェンジ」などの料金比較サイトで、比較してみると良いでしょう。

ただ。注意したいことは、事業者や料金プランによっては、複数年使い続ける契約があるということ。期間中に解約すると違約金が発生する場合があります。プランを切り替える際には、契約内容をよく確認してください。

保険 必要なものだけを「掛け捨て」で

「なんとなく保険に加入している…」。そんな人は、保険も見直しましょう。

実は、保険に加入する必要性が高い人は、それほど多くありません。日本では公的な制度が充実しているからです。この保険は本当に自分に必要か、よく考えてみましょう。

たとえば、医療保険やがん保険。

そもそも、私たちは健康保険に加入しているので、支払うお金はかかった医療費の3割です。さらに、この自己負担額には1ヶ月ごとに上限が設けられています(高額療養費制度といいます)。この上限額は、所得によって違いますが、1ヶ月の自己負担額が10万円を超える世帯は、そう多くはありません。

また、健康組合によっては、上限額が2〜3万円といったところもあります。ご自身の健保組合の内容を確認してください。

ですので、私たちが医療費として備えておくべきお金は、それほど多くありません。健康保険の対象外である「差額ベッド代」「食事代」などのお金を見積もって、1人あたり50万円ほどの貯金があれば、医療保険には加入する必要性は少ないでしょう。

また、病気やケガで働けなくなり、お給料が出ない場合には、健康保険から「傷病手当金」が支給されます。受給できる期間は、最長で1年6ヶ月。受給額は、おおむねお給料の2/3程度です。

住宅ローンを組んでいる、教育費のかかる子どもがいる、といった場合は、必要な期間だけ「就業不能保険」といった所得保障保険に加入してもいいかもしれません。

滅多に起こらないけれど、起こったときは個人では対処しきれない損失が発生する。そんなリスクに備えるのが保険の役割です。保険に加入する場合は、「貯蓄性がある」と謳った保険ではなく、掛け金が安い「掛け捨て」のものにしましょう。

※フリーランスや自営業者の人が加入する国民健康保険は対象外です。

車の保険料もチェックを

加えて、車の保険料もチェックしておきましょう、外せる補償をできるだけ外すことで、安く抑えることができます。なかでも効果が大きいのは「車両保険」です。

車両保険は、相手がいない事故や自然災害などで車が傷ついた場合の修理などを補償する保険ですが、補償される金額は年々減っていきます。車種などによっても変わりますが、新車で購入時には100万円の補償があっても、5年、10年経つと、20万円程度になることもあります。あわせて保険料も安くなっていきますが、補償金額と保険料を比べて、再検討する価値はありそうです。

このように、優先順位の低い出費を減らせれば、本当に自分が使いたいところにお金を使えるようになります。年末は、1年を振り返る、あるいは将来のことを考える良い機会です。本稿をきっかけにして、今年の収支を振り返ってみてはいかがでしょうか。

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