前回は、病気やケガで休業する際の公的な支援をご紹介しました。
今回は、キャリアアップに関する支援をピックアップしましょう。

教育訓練給付金とは

宅地建物取引士、介護福祉士、管理栄養士、通関士、ファイナンシャルプランナーなど、就職・転職する際に持っていると有利になったり、特定の仕事を行う上で必要になる資格があります。

こうした資格を取得したり、技術を身につけるためにかかった費用の一部が雇用保険から給付される制度が「教育訓練給付金制度」です。

教育訓練給付には、「一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」の2種類があります。

一般教育訓練給付金は、対象となる講座を受講し終了すると、10万円を上限に、入学料・受講料の20%が支給されるというもの。専門実践教育訓練給付金は、教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が支給され、さらに資格取得後1年以内に雇用された場合は、費用の70%(年間上限56万円)が支給されます。

対象となる講座は、厚生労働省のウェブサイトで検索できます。

ただ、これらの制度を利用するには、少なくとも雇用保険に1年以上加入している必要があります(※)。最近では、勤務時間の長い非正規雇用の人も、雇用保険に加入しているケースがあります。利用できる人も多いのではないでしょうか。雇用保険に加入していた、もしくは現在も加入している人で資格取得を考えている人は、届出先のハローワークで確認してみましょう。

(※)「一般教育訓練給付金」は、利用が初めての場合は1年以上、2度目以降の利用は3年以上、雇用保険に加入している必要があります。「専門実践教育訓練給付」は、利用が初めての場合は2年以上、2度目以降の利用には10年以上、雇用保険に加入している必要があります。

雇用保険に加入していなくてもOK 自治体によっては支援あり

自治体によっては、資格取得講座を格安(もしくは無料)で実施しているところがあります。こちらは、雇用保険は関係ありませんので、その地域に住んでいれば(働いていれば)利用できます。

たとえば、東京都では、都内に自宅か勤務先があり、中小企業で働く人を対象に「キャリアアップ講習」を実施しています。講座内容は幅広く、簿記や二級建築士、介護福祉士などの受験対策、アプリ開発やC言語などのプログラミングに関するものなど、例年通りであれば年間約600コースを実施しています。が、今年は新型コロナウイルスの影響で、講座数や定員が減っている場合があります。最新の情報は、東京都のウェブサイトで確認してください。

取りたい資格がある人は、まずこうした講座をチェックしておきましょう。

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井戸美枝