
今回は、出産や育児で休業する際の支援をご紹介します。
いくつかの条件を満たす必要がありますが、会社に勤めている人であれば、「出産手当金」と「育児休業給付金」が支給され、さらに社会保険料が免除されます。

社会保険料の免除というと、手当金・給付金と比べると地味な印象を与えるかもしれません。が、給与明細に記載されている社会保険料をチェックして下さい。これらの保険料が免除されれば、家計の一助になることは間違いないでしょう。
産前・産後にもらえるお金
まずは、産前・産後にもらえるお金をみてみましょう。
産前・産後に休業して、会社から給与が支払われないときは「出産手当金」が受け取れます(※)。対象となる人は、会社に勤めており、1年以上、勤務先の健康保険に加入している人。健康保険に加入していれば、正社員、契約社員、アルバイトなど、雇用形態は問いません。出産に関する手当ですので、女性のみが対象です。

支給額は、それぞれの給与をもとにして算出され、おおむね休業前の給与の2/3程度です。
●出産手当金 1日あたりの金額
【支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
受け取れる期間は、最大で出産以前42日と出産日の翌日以降56日の範囲内です。出産予定日より遅れて出産した場合も支給の対象になります。
(※)休業中に支払われた給与が、出産手当金より少ない場合は、その差額が支給されます。
育児休業中にもらえるお金
つづいて、育児休業中にもらえるお金です。

女性は、出産日から56日までは、いわゆる「産休」、57日以降の休業が育児休業いわゆる「育休」として扱われます。男性の場合は、出産予定日の前後から育児休業を取得することができます。
育児休業中、会社から給与が支給されないときは「育児休業給付金」が受け取れます(※)。対象となる人は、雇用保険に加入していて、育児休業開始前の2年間のうち、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある人。雇用保険に加入していれば、雇用形態は問いません。
支給額は、育児休業の取得開始から180日までは休業前の給与の約67%、181日目以降は約50%が支給されます。育休開始から6ヶ月目までとそれ以降で、支給額が変わることに注意して下さい。
●育児休業給付金 1日あたりの金額
育児休業開始から180日まで 休業開始時賃金日額×支給日数×67%
育児休業開始から180日以降 休業開始時賃金日額×支給日数×50%
受け取れる期間は、通常、子どもが1歳になる誕生日の前日まで。ただし、保育所に入れない、離婚、配偶者の死別…などの理由があれば、最長2歳まで延長できます。
父親、母親の2人が育児休業を取得する場合は、子ども1歳2ヶ月までの育児休業に対して、それぞれ最長1年間支給されます。
また、育児休業中であっても、勤務日数が月10日以下であれば、育児休業給付金を受け取ることができます。たとえば、復職前に少しずつ働き始める…といったことも可能です。
ただし、その際の給与が休業前の賃金の13%を超えると(月額)、給付金が減額されます。どの程度働くか、勤務先に相談すると良いでしょう。
(※)育児休業中に、会社から休業開始前の80%以上の給与が支給された場合は、育児休業給付金は支給されません。また休業前の13%超の給与を受け取ると、減額の対象となります。
社会保険料は全額免除

出産や育児の休業中は、上記の出産手当金、育児休業給付金に加えて、社会保険料が免除されます。先述しましたが、給与明細書に記載されている社会保険料の支払いが全てなくなる、と考えてOKです。
具体的には、厚生年金保険料と健康保険料の支払いが免除(40歳以上の人は介護保険料も免除されます)。雇用保険料は、無給であれば支払う必要がありません。
もちろん、免除を受けている期間も、それぞれ被保険者としての資格は継続されます。休業前と同様、健康保険を利用できますし、厚生年金も被保険者としての資格が継続し、免除された期間も保険料を払ったものとして計算されます(将来受け取る年金額が減ることはありません)。
ちなみに、これらの社会保険料は会社と従業員で折半していますが、会社側が支払う保険料も免除されます。
フリーランスの人は注意を
これらの手当金・給付金、社会保険料の免除は、勤務先を通じて、健康保険組合やハローワーク、年金事務所に申請されます。支給期間、支給額など、わからないことがあれば、勤務先に相談しましょう。

出産後、そのまま育児休業を取得する場合は、「産休」と「育休」それぞれ別の申請が必要になります。産休前に、勤務先へ手続きの方法を確認しておくとスムーズでしょう。育休を延長する場合も、手続きが必要になりますので、勤務先へ確認して下さい。予定より早く復職する場合は「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者終了届」を提出します。
さて、ここまでご紹介した制度は、会社に勤めている人を対象とした支援でした。近年増えている自営業者やフリーランスに、こうした支援はありません。 2019年4月からは、産前・産後の4ヶ月間の休業中のみ、国民年金保険料の免除の対象となりましたが、それ以降、育児で休業する場合でも免除にはなりません。国民健康保険にも免除の仕組みはなく、休業する際はシビアに考えて備える必要があります。
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